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読解

卓越級      |      超級      |      上級      |      中級      |      初級

まえがき

ACTFL言語運用能力ガイドライン2012年版—読解は、運用能力の五つの主要レベル---「卓越級(ディスティングイッシュ)」「超級」「上級」「中級」「初級」---を定めている。各主要レベルの記述は、一定の幅を持つ能力の代表的なものである。これらの主要レベルは、上下階層を形成し、各レベルは、その下のレベルのスキルすべてを包括している。主要レベルのうち、上級、中級、初級は、さらに上・中・下三つのサブレベルに分かれている。読解では、上級レベルに三つのサブレベルが新しく加えられた。これは、他の技能の基準に準じたものである。

読解は、解釈の技能である。読解は、主に、読み手が文章から引き出す情報量や文章内、あるいは、文章間に見いだされる推測や関係性などに基づいている。文章テキストの種類や読む状況の種類に応じた読みのタスクを定めることによって、読解の運用能力ガイドラインは、どのように読み手が文章を理解するかを規定している。ガイドラインは、読みの技能がどのように発達するか、個人がどのように読解を学ぶか、また、読解行為の実際的な認知プロセスを記述するものではない。それよりも、ガイドラインは、読み手が読んだものから何を理解するかを記述したものとして理解していただきたい。

これらガイドラインは、解釈(本、随筆、報告など)、あるいは、対人交流(インスタント・メッセージ、携帯メール、電子メールなど)のいずれにも適応する。

読解能力の基準には、オンラインを通して各主要レベルに応じたオーセンティックな文章サンプルや読解の機能タスクが付けられている。

ACTFL言語運用能力ガイドライン2012年版—読解は、 非営利目的、教育目的のみに使うことができる。ただし、使用の際は、どこも変えることなく、原文のまま復元・引用されること、また、ACTFLの著作であることを明記すること。


卓越級(ディスティングィッシュ)

「卓越級(ディスティングィッシュ)」レベルの読み手は、職業関係、専門技術分野、学術分野、文芸関係を含む多くのジャンルにわたる幅広い種類の文章を理解することができる。これらの文章は、高度な抽象化、使用語彙の精密さや特殊性、情報の密度、文化的隠喩、構文の複雑さなどの特徴のうち一つまたはそれ以上を兼ね備えている。読み手は、間接的に暗示された情報や、論調、見解を理解し、説得を目的とした議論を理解することができる。このレベルの読み手は、知的レベルの高い話題についての予想外の議論展開を理解することができる。

「卓越級(ディスティングィッシュ)」レベルの読み手は、特定の読者層に向けて書かれた文章や、古典、地域差による方言、口語体などのさまざまな言語をも理解することができる。また、書き言葉の豊潤さを理解し評価することができる。「卓越級(ディスティングィッシュ)」レベルの読み手は、捉えがたい微妙な意味や専門性の高い情報を伝えるために低頻度の語彙を駆使し複雑な修辞構成を使った文章を理解し評価することができる。そのような文章は、たいてい、随筆や評論のような長さのもので、また、もっと長い書物の抜粋ということもある。

「卓越級(ディスティングィッシュ)」レベルの読み手は、文化の枠にあてはめてことばを理解したり、書き手のニュアンスや微妙な表現を理解したりすることができる。しかし、まだ、標準でない書きことばについては、完全に理解するのは困難な場合もある。

 

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超級レベル

超級レベルの読み手は、既知のものからあまり知らないものまで幅広いテーマを扱った多くのジャンルの文章を理解することができる。その理解は、読み手がよく知っているテーマに限られず、豊富な語彙量、複雑な構文の理解、目標文化の知識によって裏打ちされた高いレベルの言語能力によって導かれる。超級レベルの読み手は、言語・非言語の手がかりから行間の意味を推量することができる。

超級レベルの読み手は、専門用語などを含む厳選された語彙と複雑な文法構文を使った文章を理解することができる。これらの文章は、議論、裏付けのある意見、仮説などが主な特徴であって、学術関係や専門分野における文章によく見られる抽象的な言語形式が使われている。そういった文章は、通常、何かについて論じられていたり、あるいは、分析したりするもので、文化に関連した表現を用いていることが多い。

超級レベルの読み手は、専門分野、学術関係、あるいは、文芸関係の長い文章を理解することができる。さらに、超級レベルの読み手は、たいてい、言語の美学的特性や文学スタイルについての知識はあるが、文化に関わる表現や文化的な前提が深く関わっている文章を読む場合、充分に読みこなすことができないこともある。

 

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上級レベル

上級レベルの読み手は、母語話者向けに書かれた物語文や描写文の主題と主題を補う詳細部分を理解することができる。また、状況設定の手がかりを使って、語彙と構文の不足部分を補うことができる。同じようにその理解も、目標言語の決まった型(例:名詞・形容詞の一致、動詞の位置など)によって支えられている。知っている話題であれば、上級レベルの読み手は、単純明快な議論からある程度意味を読み取る(主題の論点を認識するなど)ことができる。

上級の読み手は、明確で予測できる構成からなる文章を理解することができる。ほとんどの場合、そのような文章は、複雑ではなく、テーマは、一般的に関心が持たれている現実世界の話題に関係するものである。

上級レベルの読み手は、新しいテーマについて読む場合にも、自力で読む力を有する。標準的な言語についての決まりを熟知しており、文の配列、時制枠、時系列などを理解することができる。しかし、主題を抽象的に扱った文章を読む場合には困難が生じる。


上級の上

「上級—上」の読み手は、定まった型の物語や描写文であればどのような長さでも理解でき、また、より複雑な事実を著した文章などを、充分にかつ容易に理解することができる。また、 関心のある特定分野や知識のある分野に関した論述文の主要論点をある程度理解することができる。さらに、自分のあまり知らない話題や状況を扱う文章も、部分的に理解することができる。このレベルの読み手は、文章の事実を理解するだけでなく、書き手の意図する行間の意味を認識し始める段階にある。言語の持つ美学的特性と文学表現スタイルを認識し始めた段階にいるため、理解できる文章は多岐にわたる。しかし、構文的、または、概念的にさらに複雑な文章を読む場合、誤解が生じることもある。

上級の中

「上級—中」の読み手は、人物、場所、事物についての比較的長い描写や、過去、現在、未来のできごとについての物語など、定まった型の物語文と描写文を理解することができる。これらの文章は、目標言語における書きことばの標準的な言語形式を反映しているため、読み手は読む内容を予測することができる。このレベルの読み手は、主要論点と、それを補う詳細部分の多くを理解することができる。その理解は、状況についての知識や主題に関する知識だけでなく、言語知識そのものから導かれる。また、構文と概念両面において、またはそのいずれかにおいて、より複雑な文章から意味をいくらか読み取ることもある。

上級の下

「上級—下」の読み手は、その理解力にばらつきはあるものの、構成が明確な定まった型の物語や描写の文章を理解することができる。これらの文章は、主に高頻度の語彙と構文が使われている。読み手は、主要論点とそれを補う詳細部分のいくらかを理解することができる。その理解は、主に、状況についての知識や主題についての知識によって導き出されることが多い。しかし、より複雑な文章を理解するのは困難である。

 

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中級レベル

中級レベルの読み手は、簡単で、予測可能で、ゆるやかにつながった文章を理解することができる。また、このレベルの読み手は、状況による手がかりに大きく依存する。例えば天気予報やお知らせなど、文章の形式が、よく知っているものであれば、情報を容易に理解することができる。

中級レベルの読み手は、お知らせ、通知、インターネット掲示板、フォーラムなどでよく見られる基本的な情報を伝達する文章を理解することができる。これらの文章は、複雑ではなく、その提示のパターンも予測可能である。文章は、わずかなつながりがあり、主に、高頻度の語彙を使った個別の文章あるいは文の並列によってできている。

中級レベルの読み手が最も正確に理解できるのは、平易で簡単な文章から意味を読み取る時である。このレベルの読み手は、日常の身近な場面で目にする情報を理解することができる。しかし、このレベルでは、詳細に書かれた文章、あるいは、できごとの順序、時制枠、時系列を理解するのに、構文の知識が決め手となるような文章については充分に理解することができないこともある。


中級の上

「中級—上」の読み手は、基本的な情報を伝達し、個人的な興味や知識が使える私的な話題や社交的な話題を扱うような短く複雑でない文章を、完全にかつ容易に理解することができる。描写や物語といったつながりのある文章を少しは理解することができるが、語彙、構文、書きことばの決まり事についての知識が限られているため、理解に時々欠落が生じる。

中級の中

「中級—中」の読み手が理解できる文章は、基本的な情報を伝達し、個人の興味や知識が使える基礎レベルの個人的・社交的な話題を扱う、短く複雑でない文章であるが、ある程度の誤解は生じる場合もある。このレベルの読み手は、よく知っている話題を取り扱った描写や物語といった短いつながりのある文章からある程度の意味を読み取ることができる。

中級の下

「中級—下」の読み手は、限られた範囲の個人的・社交的なニーズを扱った最も単純でつながりのある文章からある程度の情報を理解することができるが、誤読は頻繁に起こる。このレベルでは、どのような長さであれ、つながった文章から意味を引き出すのに苦労する。

 

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初級レベル

初級レベルの読み手は、キーワードや同族言語語彙、そして、状況設定からはっきりとわかる決まった表現などを理解することができる。

初級レベルの読み手は、ホテルの明細書、クレジットカードの領収書、天気予報図といったよく知っている話題や状況設定において予測可能な文章から限られた情報を得ることができる。初級レベルの読み手は自分の持っている予備知識や非言語の手がかり(天気予報地図の図表やクレジットカード領収書の書式など)に大きく依存することもある。

初級レベルの読み手が最も正確に文章を理解できるのは、文章の情報が予想できる場合である。初級レベルでは、キーワード、同族言語語彙、決まった表現が認識できる場合、理解が可能となる。


初級の上

「初級—上」の読み手は、一定の範囲内で状況設定がかなり明確な文章から、キーワードや同族言語語彙、また決まった表現などを、比較的容易に充分に理解することができる。語彙が既習のものであれば、電車のスケジュール、地図、道路標識といった予測可能な言語やメッセージを理解することができる。「初級—上」の読み手は、通常、基礎レベルの情報を伝える短くて複雑でない文章から意味を読み取ることができる。その基礎レベルの情報には、状況や非言語の手がかりが含まれている。

初級の中

「初級—中」の読み手は、アルファベットや音節表記の文字や記号、また漢字などの表記の場合は限られた数の文字を認識することができる。また、わかりやすい状況で使われている同族言語の語彙や外来語を含めた単語や語句をいくつも認定することができる。しかし、単一の語句より長いものになると理解するのは難しい。繰り返し読まなければならないことも多い。

初級の下

「初級—下」の読み手は、限られた数のアルファベット、記号、文字を認識することができる。文脈や状況が大きな手がかりになっている場合、まれに高頻度の単語や語句を認識することができる。

 

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