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リスニング

卓越級      |      超級      |      上級      |      中級      |      初級

まえがき

ACTFL言語運用能力ガイドライン2012年版—リスニングは、運用能力の五つの主要レベル---「卓越級(ディスティングイッシュ)」「超級」「上級」「中級」「初級」---を定めている。各主要レベルの記述は、一定の幅を持つ能力の代表的なものである。これらの主要レベルは、上下階層を形成し、各レベルは、それぞれの下のレベルのスキルすべてを包括している。主要レベルのうち、上級、中級、初級は、さらに上・中・下三つのサブレベルに分かれている。リスニングでは、上級レベルに上・中・下のサブレベルが新しく加えられた。これは、他の技能の基準に準じたものである。

リスニングは、解釈の技能である。聴解は、多くは、聞き手が聞いたものから引き出すことのできる情報の量、また、聞き手が生み出すことのできる推測や関連性に基づいている。様々な発話タイプや聞き取り状況に応じて、聞き手が、どのようなタスクを遂行するかを説明することによって、リスニングの運用能力ガイドラインは、どのように聞き手が口語の談話を理解するかを定めている。ガイドラインは、リスニングの技能がどのように発達するのか、個人が どのようにリスニングを学ぶのかを記述するものではなく、また、聞き取り行為の際の実際の認知プロセスを記述するものでもない。ガイドラインは、むしろ、聞き手が聞いたものから何を理解するかを記述したものとして理解していただきたい。

これらガイドラインは、一方向性の聞き取り(非参加型、偶然耳に入ったものなど)、あるいは、対人型伝達行為(参加型)の際の聞き取りに適応する。

リスニング能力の記述には、オンラインを通して各主要レベルに応じたオーセンティックな発話サンプルや聞き取りの機能的タスクが付けられている。

ACTFL言語運用能力ガイドライン2012年版—リスニングは、 非営利目的、教育目的のみに使うことができる。ただし、使用の際は、どこも変えることなく、原文のまま復元・引用されること、また、ACTFLの著作であることを明記すること。


卓越級(ディスティングィッシュ)

「卓越級(ディスティングィッシュ)」」レベルのリスナーは、 言語的に専門性の高い話題について異なる聞き手に応じて調整された言語形式、スタイル、レジスターを幅広く理解することができる。「卓越級(ディスティングィッシュ)」レベルのリスナーは、古典演劇、芸術映画、専門分野のシンポジウム、学術的議論、公的な方針表明、文芸関連の朗読、また、ほとんどの冗談やだじゃれなどといった言語を理解することができる。間接的に暗示された情報、口調、見解を理解することができ、さらに、説得を目的とした議論を理解することができる。また、知的レベルの高い話題に関して、予想外の議論展開を理解することができる。その上、彼らの聴解能力は、文化的な表現や隠喩についての幅広く深い理解によっていっそう高められる。「卓越級(ディスティングィッシュ)」レベルのリスナーは、話し言葉の豊潤さを理解しその価値を賞することができる。

「卓越級(ディスティングィッシュ)」レベルのリスナーは、非常に抽象的で、専門性の高いスピーチ、また、的確に使用された低頻度の語彙、そして複雑な修辞構文を用いたスピーチも理解できる。このレベルのリスナーが理解できる口語談話は、長く、難解で、複雑な構文が使われており、文化的引用やイディオムや口語的表現が豊富である。さらに、このレベルのリスナーは、微妙な、または専門性の高い情報を理解し、また、言語的にほとんど重複のない非常に短い談話の文化的な意義を充分に理解することができる。

「卓越級(ディスティングィッシュ)」レベルのリスナーは、目標文化の枠組みにおいて言語を理解し、話し手のニュアンスや微妙な表現を理解することができる。しかし、特定の方言や標準語ではない言語を完全に理解するのはまだ難しい場合もある。

 

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超級レベル

超級レベルのリスナーは、既知の話題からあまり知らない話題まで幅広い範囲で、標準語で語られた発話を理解することができる。また、学術関係の状況や職業に関連した場面で使用される、講義、スピーチ、報告など、長さのある言語的に複雑な談話を理解することができる。その理解は、個人的によく知っている話題や内容に限られることはなく、幅広い語彙、さらに複雑な構文の理解、そして、目標文化圏での経験によって培われた言語能力から理解が得られる。超級のリスナーは、何を言っているのかわかるだけでなく、時には語られていない部分をも理解する。つまり、推量することができる。

超級レベルのリスナーは、通常、的確に選択された専門的語彙と複雑な文法構文が使用された発話が理解できる。このような発話は、学術分野や専門分野における聞き手に合わせて抽象的に論題を扱ったものである。そのような談話は、議論である場合もあれば、文化に根ざした表現が使用されていることもある。

 

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上級レベル

上級レベルではリスナーは、ニュース、説明、指示、逸話、紀行といったさまざまな一般の話題に関するつながりのある談話から、主要な論点や主要点を補う詳細部分を理解することができる。リスナーは、目標言語の語彙や構文における自分の知識の限界を、現実世界の知識や状況の手がかりを使って補うことができる。また、話題や状況設定に精通していれば、高いレベルの口語談話からある程度の意味を聞き取る場合もある。

上級レベルのリスナーは、オーセンティックで結束性のある発話を理解することができる。この発話は、語彙や構文の面で複雑なものではない。談話は、単純明快で、たいていはっきりと予測できる形でまとめられている。

上級レベルのリスナーは、一般に関心を集めている一定範囲の話題について理解する能力を有している。また、基本的な時制枠を理解するのに充分な目標言語の構文知識を有している。しかし、ほとんどの場合、このレベルのリスナーの理解は、具体的で型通りの談話に限られている。


上級の上

「上級—上」のリスナーは、長さに関わらず定型の語り(ナラティブ)や描写の談話のみならず、要約や報告といった複雑な事実を扱ったものも、容易に自信を持って理解することができる。通常、自分の関心のある分野や知識のある分野であれば、より複雑な談話や議論をともなう談話の主要な論点をいくらか理解することができる。さらに、あまり知らない話題や状況を扱う口語談話から、ある程度の意味を聞き取ることもできる。「上級—上」のレベルでは、リスナーは、口語談話の中に出てくる事実を理解することができ、また、しばしば、発話者が意図した言外の意味を認識することができる。しかし、超級のリスナーが通常理解できるとされる抽象的な問題を扱う複雑な談話を理解しようとする場合には、誤解も生じやすい。

上級の中

「上級—中」のリスナーは、人、場所、事物についての長い描写や、過去、現在、未来の出来事についての語り(ナレーション)など、型にはまった物語り(ナラティブ)や描写の談話を理解することができる。談話は、主に、目標言語の聞き慣れたパターンが使われたものである。リスナーは、主要な事実とそれを補う細かい部分の多くを理解する。その理解は、場面設定や主題に関する既存の知識のみならず、より熟達した包括的な言語能力自体によって導かれる。

上級の下

「上級—下」のリスナーは、構成がはっきりとした短い型にはまった語り(ナラティブ)や描写の談話を理解することができる。ただし、その理解にはばらつきがある。このレベルのリスナーは、主要な事実とそれを補う細かい部分をいくらか理解することができる。理解は、主に場面設定や主題に関する知識から導かれたものであることが多い。

 

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中級

中級レベルのリスナーは、聞き慣れた話題や日常的な話題について、簡単な文レベルの発話によって伝達される情報を理解することができる。たいてい、対人での会話に参加している時や、状況からすぐわかる内容、簡単なアナウンス、簡単な指示などを理解するといった日常よくある聴解タスクを行なっている時は、一度に一つの発話について理解することができる。このレベルのリスナーは、重複、言い直し、言い換え、状況からの手がかりに大きく依存する。

中級レベルのリスナーは、基本的な情報を伝える発話を理解することができる。このような発話は、簡単で、結束性においては最小限にとどまり、高頻度の語彙が使われたものである。

中級レベルのリスナーは、単純で簡単な発話の意味を聞き取る場合、最も正確に理解できると言える。また、日常のかなり慣れた状況で聞かれる情報を理解することができる。このレベルでは、 聞く内容が予想できるように調整された聞き取り環境を必要とする。


中級の上

「中級—上」レベルのリスナーは、個人に関連のある基本的な状況や対人交流の状況で、簡単な文レベルの発話を、容易に自信をもって理解することができる。また、上級レベルのリスナーが通常理解するようなまとまったいくつかの談話について、意味を充分聞き取ることができる。しかし、語彙と口語における構文の知識に限界があるため、理解には欠落した部分もしばしば見られる。

中級の中

「中級—中」のリスナーは、さまざまな基礎レベルの自分に関連した状況や対人交流の場面で、一度に一つの発話であれば簡単な文レベルの発話を、理解することができる。多少の誤解は起こるものの、かなり慣れた予測可能な話題については、正確に理解することができる。「中級—中」のリスナーは、上級レベルのリスナーがよく理解することができるような口語談話について、多少の意味を聞き取ることもある。

中級の下

「中級—下」のリスナーは、 基礎レベルの自分に関連した状況や対人交流の場面で、一度に一つの発話であれば、文レベルの発話からいくらかの情報を理解することができる。ただし、理解には、ばらつきがある。上級のリスナーが理解できるような口語の談話についての理解は、ほとんど、あるいは、まったくできない。

 

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初級

初級レベルのリスナーは、紹介や初歩的なあいさつなどで耳にするようなコンテクストが明確で予測可能なキーワード、同族言語からの同音語彙、決まった表現などを理解することができる。

初級レベルのリスナーは、簡単な質問、陳述、高頻度で聞かれる指示の中から、単語や語句を理解することができる。通常、理解するためには、繰り返しや言い直し、また、話す速度を遅くすることが必要とされる。また、意味を聞き取るために、非言語による要素にかなり依存する。

初級レベルのリスナーが最も正確に理解できるのは、聞いている発話が何についてか分かる時である。このように、このレベルのリスナーは、真の意味で理解するというより、認識する傾向がある。その聴解は、情報そのもの以外の要素に大きく依存していると言える。

初級の上

「初級—上」レベルのリスナーは、状況がはっきりしていて言語以外の補助が存在する初歩レベルの自分に関連した状況や対人交流の場面で、一度に一つの発話で、文レベルの発話からの情報を、常にではないが、よく理解することができる。ただし、理解は、しばしばばらつきがある。習った語彙があれば、非常に標準的な情報や表現、指示などといった実際的なニーズに関連した発話を理解することができる。

初級の中

「初級—中」のリスナーは、音が似ている同族言語のことばや外来語を含め、高頻度で、状況からすぐわかる単語や語句を認識するだけでなく、理解をし始める。通常、一度に一つ以上の語句を理解することができるが、繰り返しを必要とすることもある。

初級の下

「初級—下」のリスナーは、状況からの手助けがある場合、時折、個別の単語やかなり高頻度の語句を認識することができる。基礎レベルの個人に関連した状況や対人交流の場面においても、実質、話された情報について理解を示すことはない。

 

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